コレステロールとは脂質の一種であり、体内に100~150gほど存在しています。主な役割としては、細胞膜や生体膜の構成成分として重要な役割を果たしています。然しながら、健康診断においても悪玉コレステロール値が高いと指摘されるものの、どのような役割を持っているのかわからない人も多いでしょう。
このページでは、コレステロールの概要から善玉と悪玉コレステロールのバランスのとり方を紹介してきます。
コレステロールの概要と役割
コレステロールは人が生命活動を行う上で欠かすことができない成分です。役割としては、細胞膜や生体膜の構成成分となることや副腎皮質ホルモンや性ホルモン、胆汁酸の原料になったり、神経伝達をスムーズにする働きがあったりします。特に脳やせき髄などの神経系や脂肪組織などに多く含まれています。
体内には100~150gほど存在しており、血液を介して全身に運搬されます。
体が一日に必要としているコレステロールは1000mg~2000mgです。その大半は肝臓で合成されますが、一部は食事からも摂取されます。
コレステロールは血液に溶け、全身に運ばれる
体内に存在している脂質には、中性脂肪・リン脂質・遊離脂肪酸・コレステロールの4種類があります。
コレステロールは血液に溶け込んで各組織に運ばれるのですが、脂肪ですからそのままでは溶け込むことができません。そのため、一度リン脂質とアポたんぱくと呼ばれる粒子となって血液に溶け込むのです。
そのリポたんぱくの種類によって善玉HDLコレステロールと悪玉LDLコレステロールに分類されるのです。
善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)
血液に溶け込んだ状態となったリポたんぱく質は、大きさや比重によって「カイロミクロン」「VLDL」「悪玉コレステロール(LDL)」「善玉コレステロール(HDL)」に大別されます。すべて、中性脂肪とコレステロールの両方を運びますが、それぞれの組織、目的や働きは異なります。
悪玉コレステロール(LDL)について
悪玉コレステロール(LDL)は、肝臓で作られたコレステロールを体のすみずみに運ぶ役割を果たしています。それ自体は何も悪くないのですが、悪玉コレステロールが増えすぎると行き場がなくなり、血液中にとどまっているうちに酸化してしまいます。酸化したコレステロールは血管壁にこびりついてしまうのです。
これが動脈硬化の原因となっています。
善玉コレステロール(HDL)について
善玉コレステロール(HDL)は、血液中に余ったコレステロールや血管にこびりついたコレステロールを回収して、肝臓に運ぶ役割を果たします。血管の掃除をしてくれるため、善玉コレステロールと呼ばれています。
悪玉コレステロールの下げ方
食事やサプリメントによって悪玉コレステロール値を下げる方法
悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすためには、動物性脂肪や高コレステロール食品を摂りすぎないように注意しましょう。コレステロール値が高い食品としては以下のものがあります。
食品 | 100gあたりのコレステロール |
するめ | 980mg |
剣先いか | 350mg |
たまご(卵黄) | 1400mg |
うなぎのかば焼き | 230mg |
たまご(全卵) | 420mg |
また、以下の栄養素を取得するとコレステロール値のバランスが良くなるといわれています。
- 食物繊維
- EPA・DHA
- オレイン酸…肝臓に悪玉コレステロールが取り込まれるのを促進し、血液中のコレステロール値を下げる
- タウリン…肝機能を強化し、コレステロールの処理能力を強化する
- アルギン酸…胆汁酸を排出し、原料となるコレステロールを消費する
更に、悪玉コレステロールが酸化するのを防ぐには、抗酸化作用が強い、βカロテンやビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを摂取すると良いでしょう。
運動によって悪玉コレステロール値を下げる方法
過激な運動は活性酸素を発生させるため、逆効果となります。しかし、適度な運動であれば善玉コレステロールを増やす効果があります。
特にウォーキングは手軽にどこでもできるのでお勧めです。適度な運動を日課にするとよいでしょう。
健康診断で悪玉コレステロール値が高い方へ
悪玉コレステロール値が高いと、脂質異常症や動脈硬化、高コレステロール血症、心筋梗塞、脳梗塞などの致命的な病気を引き起こすリスクが高くなります。
昨今の食生活において、日本人は悪玉コレステロールが高くなる環境になりやすいといわれています。
まずは、EPAやDHAなどのサプリメントを摂ってみたり、適度な運動であるウォーキングを日課にしてみたりして、悪玉コレステロール値を下げる努力をしてみましょう。