γ-リノレン酸は、n-6系の多価不飽和脂肪酸(オメガ6)の一種です。γリノレン酸は、リノール酸を含む食品をとると体内で合成されます。γリノレン酸は、さらにジ・ホモ・γリノレン酸となり、アラキドン酸に変換されます。ジ・ホモ・γリノレン酸は、プロスタグランジン1系列の生態調整ホルモンの原料となる重要な成分です。
γリノレン酸は、現代人において不足しやすい栄養素と言われています。その効果と摂り方を紹介していきます。
γリノレン酸の効果について
γリノレン酸はプロスタグランジンと呼ばれる生体調節ホルモンの原料となり以下のような効果をもたらします。
- 細胞膜の構成成分となり、細胞を活性化させる
- 血圧や血糖値を調整して、高血圧や糖尿病を予防する
- 血中のコレステロール値を下げたり、血小板の凝集を抑えて血液をサラサラにする
- 血管を拡張して血流をよくする。動脈硬化や心筋梗塞の予防になる。
- アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくに効果あり
このように様々な効果をもたらすのですが、γリノレン酸が不足していると、十分にプロスタグランジンが生成されず、体の機能が正常に働きません。
プロスタグランジンとは?
プロスタグランジンは、炭素数20個の多価不飽和脂肪酸から作り出される生態調節ホルモンで、27種類あります。3つのグループに分かれており、相反する働きをするプロスタグランジンがバランスをとることによって、私たちの健康を維持しています。そのうちいくつかは化学合成されて、医薬品として利用されています。
γリノレン酸が不足しやすい理由
γリノレン酸はリノール酸を含む食品を摂取すると体内で合成されますが、不足しやすいことには理由があります。
まず乳児は体内でγリノレン酸を合成できません。そのため、乳児は母乳からγリノレン酸を摂取します。
また40歳をすぎると急速に合成能力が落ちるため、高齢者も不足しがちです。このほか食生活が不規則な人、アルコールや動物性脂肪を過剰に摂取している人、糖尿病の人やストレスの多い人は、必要なγリノレン酸を作り出せない傾向にあるといわれています。
また遺伝的要因で、γリノレン酸を十分につくりだせないという人が4人に1人の割合でいるという驚くべき結果もあります。
γリノレン酸を多く含む食品
- 真昆布
- 刻み昆布
- 削り昆布
- 湯どおしわかめ
γリノレン酸の摂り方
γリノレン酸は一般の食品にはあまり含まれていません。月見草やボラージ草からとったオイルが、健康食品として市販されています。
ブドウ糖などの糖質を微生物によって人工的につくる技術も開発されており、添加されているゼリーや飲料もあります。