糖質とは炭水化物と呼ばれる栄養素から食物繊維を除いたものを指します。昨今糖質制限ダイエットが話題となっているように、非常に注目されている栄養素です。
糖質と聞いたら、とても甘いイメージやお菓子の中に含まれているようなイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、非常に多くの食品に含まれているものになります。
また、糖質にもさまざまな種類があり、それぞれによってもたらす役割が違うため正しく知っておくことが非常に大切になります。
糖質の概要について
糖質は脂質・たんぱく質と並んで、三大栄養素の一つと呼ばれています。糖質は、炭水化物から食物繊維を除いた栄養素が該当します。
糖質は、体内に取り込まれるとブドウ糖に変化して、エネルギー源として大きな役割を果たします。最小単位は単糖で、単糖類にはブドウ糖と果糖があります。単糖類が2個結合したものを二糖類、数多く結合したものを多糖類と言います。
脳の唯一のエネルギー源が糖質
糖質が重要なのは、脳や神経系、赤血球や筋肉などが活動するための唯一のエネルギー源となるからです。糖質が不足して血糖値が下がると、これらの機能は低下してしまいます。
脳はブドウ糖を蓄えることができませんから、毎日最低でも100グラム以上は糖質を摂取しましょう。
摂りすぎると中性脂肪となり生活習慣病の原因に
糖質の過剰摂取は生活習慣病の原因となります。
余ったブドウ糖は、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、必要に応じて消費されますが、さらに余ると脂肪組織に運ばれて体脂肪として蓄積されてしまうのです。
そのため、肥満の原因になりますし、糖尿病や脂肪肝、動脈硬化などを引き起こすこともあります。
特に砂糖や果物に多く含まれる果糖質は他内で脂肪に代わりやすいので注意してください。
糖質は穀類やイモ類などに多く含まれるでんぷんで摂取するこうが糖尿病の予防には有効です。
ビタミンB1を一緒摂取すると消化に良い
糖質はビタミンB1がないと、スムーズに消化されません。使われなかったものは疲労のもとである乳酸となって体内に残ってしまいます。ビタミンB1が疲労回復のビタミンと呼ばれるのは糖質の代謝を高めて、疲労物質がたまるのを防ぐからです。糖質をとるときにはビタミンB1も一緒にとるように心がけましょう。
ビタミンB1は、豚肉やハム、うなぎ、大豆に多く含まれています。
糖質を多く含む食品について
糖質を含む食品は、パン類・麺類・ごはん類など主食と呼ばれるものがほとんど該当します。そのため、糖質を制限するダイエットでは食べれる食材が、肉類や大豆類など高たんぱく食材に限られてしまう非常に厳しいものとなります。
ここでは、糖質を多く含む食品を紹介します。
食品名 | 可食部100gあたりの糖質量 |
赤飯 | 42.4g |
精白米ごはん | 37.1g |
そば | 26.0g |
スパゲティ | 28.4g |
中華麺 | 28.4g |
ブドウ糖(グルコース)について
ブドウ糖は、果物やはちみつに多く含まれ、でんぷんはブドウ糖がたくさん結合している多糖類です。ブドウ糖は自然界にもっとも多く存在する糖で、血液中にも血糖として約0.1%含まれます。
糖質はすべて、最終的にはブドウ糖に転換され、エネルギー源として活用されます。
蔗糖(シュクロース)について
ブドウ糖と果糖が結合したものを指します。砂糖の99%は蔗糖で構成されており、蔗糖は甘味料として非常に重要です。蔗糖は小腸でブドウ糖と果糖に分解されて吸収され、ブドウ糖はそのままエネルギー源となり、果糖は肝臓でブドウ糖に転換されエネルギー源となります。
麦芽糖(マルトース)について
ブドウ糖が二つ結合したもので、蔗糖同様、二糖類に分類されます。
麦芽や水あめに多く含まれており、蔗糖に比べると甘みが少なく、あっさりしているのが特徴です。つやが出るのでお菓子やジャム、つくだ煮などに用いられます。
果糖(フラクトース)について
果糖は果物やはちみつに多く含まれ、糖類のなかで最も甘みが強いのが特徴です。甘味度はブドウ糖の約2.5倍あるといわれています。
この果糖とブドウ糖が結合したものが砂糖の主成分である、蔗糖です。果糖はあっさりした甘みで水にもよくとけます。
果物が冷やして食べたほうが甘い理由
果物中の水分に溶けた果糖の分子構造を見てみるとα型とβ型があり、β型はα型の3倍の甘みを持っております。冷えるとβ型の果糖が増え、温度が上がるとα型の果糖が増えます。
一般的に果物は冷やして食べたほうがおいしいのですが、それは冷やすことによって甘みの強いβ型が増えるからです。
果糖は即効性のあるエネルギー源になる
果糖はでんぷんに比べると消化吸収が速いので、急いでエネルギーの補給をしたいときに効果的です。また運動中は脂肪を効率よくもやし、グリコーゲンの消費を抑えます。このため、スタミナを持続させる効果がおおきく、スポーツ時のエネルギー補給にうってつけとなります。
果糖は中性脂肪の合成に使われ太りやすい
果糖は中性脂肪の合成に使われるので、ブドウ糖よりも脂肪に代わりやすいといわれています。果物や砂糖をとりすぎると太るのは、これらに果糖が多く含まれているからです。果物はビタミンやミネラルの供給源としては優れていますが、食べ過ぎないように注意が必要です。
乳糖(ラクトース)について
乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合したもので、母乳や牛乳に組まれています。甘みが少なく、甘味度は蔗糖の5分の1程度のものですが、赤ちゃんにとって重要な栄養素となります。
乳児ではアミラーゼと呼ばれる消化酵素が分泌されず、でんぷんを消化できないため、乳糖はエネルギー源として重要です。
腸内の善玉菌を増やす効果がある
乳糖は腸で乳酸菌の栄養源となり、乳酸菌を増やします。乳酸菌は善玉菌で、腸内の健康を保ち便通をよくします。このため、便秘解消、生活習慣病予防に大きな力を発揮します。
また、カルシウムやマグネシウムなどの吸収を高める働きもあります。
牛乳を飲むと下痢をする人がいる原因
牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしたり、下痢をするひとがいます。これが乳糖不耐症です。乳糖は小腸でラクターゼという消化酵素によって分解されますが、成長とともにラクターゼの働きが衰えるので、乳糖を分解できず消化不良になってしまう人がいるのです。
オリゴ糖について
オリゴ糖はブドウ糖や果糖などの単糖が2~20個結合したものです。砂糖のように単糖類に消化され吸収されるオリゴ糖もありますが、なかには人間の消化酵素では分解できないものもあります。
これらは小腸で吸収されないのでそのまま大腸まで到達し、ビフィズス菌などの腸内善玉菌の栄養源となって善玉菌を増やします。
このため、発がん物質や悪臭物質を生成する悪玉菌の活動が抑制され、腸内の健康が保たれます。
オリゴ糖は、便秘解消や脂質異常症の改善、大腸がんの予防、免疫力の強化などに力を発揮します。
オリゴ糖の種類について
オリゴ糖は20種類くらいありますが、代表的なものとして次のようなものがあります。
フラクトオリゴ糖
主成分は蔗糖です。消化吸収されにくいので低エネルギーですが、砂糖に近い甘みがあります。虫歯になりにくく、便秘解消や生活習慣病の予防に有効です。
たまねぎやバナナ、ごぼうなどに含まれています。
イソマルトオリゴ糖
虫歯になりにくく、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌だけを増やし、腸内を健康に保ちます。
熱や酸に強く、コクのある甘みがあります。みそやしょうゆ、酒、はちみつなどに含まれています。とうもろこしからつくられたものが市販されています。
大豆オリゴ糖
大豆に含まれているオリゴ糖です。砂糖よりもあっさりした甘みで低エネルギーです。熱や酸にも強く、少量でも便秘解消に大きな効果があります。
ガラクトオリゴ糖
主成分は乳糖です。さわやかな甘みがあり、ビフィズス菌を増殖させて便通を整えます。
キシロオリゴ糖
大便の水分を理想的な80%に調整し、便通を整えてくれます。たけのこに少量含まれています。
甘味料について
甘味料とは、通常の砂糖などの糖類とは異なり、小腸内にて吸収されない結果、低エネルギーで甘みを感じることができる糖類となります。
吸収されないため、血糖値をあげることもなく、肥満の原因にもなりません。
血糖値を上げないので、糖尿病の方も利用できるというメリットがありますし、虫歯予防にも効果が大きいといわれています。
抗がん効果が高い多糖類について
きのこ類に含まれている多糖類であるβグルカンには強い抗がん作用があります。カワラタケのPSKやしいたけのレンチナンなどは、厚生労働省認可の抗がん剤として使用されています。
また、ベプチドマイナンと呼ばれる多糖類には、インターフェロンの分泌を促す作用があります。さらにマイタケに含まれる多糖体MD-フラクションにもがんの増殖を抑える作用があることがわかってきました。同様の作用が、のりの細胞壁に含まれている多糖類ポリフィランにもあります。
キクイモに含まれる多糖類イヌリンには血糖値の上昇を防いだり、LDLコレステロールを排出したりする働きがあります。
糖質に関するまとめ
糖質は、脳や神経系、筋肉などが活動するために必要不可欠な三大栄養素です。食べ過ぎると糖尿病や肥満になってしまいますが、その分類の成分が果たす役割を見てみるとオリゴ糖や乳糖のように体に対して、良い効果をもたらす糖質があることも事実です。
過剰摂取しがちな蔗糖や果糖などもスポーツ前に摂取するなど、きちんと役割を知ったうえで適切な食事を行うように心がけていきましょう。