腹筋ベルトとは、EMS(Electric Muscle Stimulation)と呼ばれる筋肉に電気信号を送るマシンを装着したベルトのことを指します。
有名なものだとスレンダートーンやSixPadなど多く宣伝されているものから、医療用に特化したものまであります。
誇大な広告に伴って、「本当に効果があるのかな?」と思われがちな腹筋ベルトですが、正しい仕組みと使い方を理解するだけで、美しいボディメイクを実現させるための手助けになるでしょう。
このページでは、腹筋ベルトの仕組みを専門的に解説していきます。
そもそもEMSとはどんなものか?
EMSとは、Electric Muscle Stimulationという意味で筋肉に電気的な信号を人工的に送ることによって、収縮運動を発生し、筋肉を強化する方法です。
元々人間の体の細胞は、微弱な電気を発生しており、生体現象の維持や継続に不可欠です。
この生体電気によって、人間は手足を伸ばしたり、心臓を動かしたり、呼吸をしたりしているのです。
医療の現場においても、運動ができない患者の筋肉を維持するために、EMSを用いて運動不足に起因する腰痛や肩こりなどを治療するために使用されてきました。
今回紹介する腹筋ベルトは、EMSの仕組みをベルトに備え付けることで、強制的に腹筋に収縮運動をさせることで、エクササイズさせるものになります。
EMS(腹筋ベルト)の4つの効果について
本来EMSは、ダイエットやエクササイズマシンとして取り入られる以前は、医療用のマシンとして使用されてきました。
EMSを考える上では、筋トレ目的の機械と治療目的な機械をしっかりと理解する必要があります。
EMSには、以下の4つの効果があるとされています。
筋肥大効果
筋肉に高周波の信号を送り、収縮運動をさせることで、筋肥大効果が期待できます。
低周波の信号であると、皮膚抵抗が大きく、パットを貼った皮膚の下3~5ミリくらいのところで70~80%の電気が拡散してしまい、皮膚がピリピリしてしまうだけです。
確りと高周波信号を与えることで、筋肉に刺激を与えることができます。
また筋肉を機械的に動かすだけでは、筋肥大は起こらないという俗説がありますが、筋細胞が伸長し、細胞外マトリックスが壊れて成長因子が現れれば、結果的に筋肥大は起きるとされています。
但し、市販で販売されている腹筋ベルトでは、電気信号が制限されていることから高い負荷が出にくく、効果は軽い負荷の筋トレ程度だとされています。
伸長刺激だけでも筋肥大は起こる。
マウスの骨格筋細胞を採取し、プレート上で15%の機械的伸展刺激を与えたところ、通常よりも10%以上成長した
※出典元:骨角筋細胞に対する機械的伸展刺激の影響に関する研究
深部透過性
波形に含まれる高周波の電気信号が、皮膚に対する電気抵抗を抑え、体の深い部位にある筋肉へ刺激を与えることができます。
腹筋ベルトなどを選ぶ際は、意識したほうがいいポイントとなります。
代謝促進効果
低周波による電気信号による高いマッサージ効果によって、血管が拡張し、血液の循環を促すとされています。
低周波マッサージ機などに重点的に強化されている機能になります。
鎮痛効果
低周波による波形が神経に作用して、高い鎮痛効果を生み出すとされています。
低周波マッサージ機などに重点的についている機能です。
腹筋ベルトの選び方
腹筋ベルトは正しい知識で選ばないと効果を得ることができません。
腹筋ベルトをただ安価なものを使ってしまうと、皮膚を傷めるだけの粗悪なものまであります。
選ぶ際の注意しなければいけないポイントは、「周波数」「刺激したい範囲」「信頼性」の3ポイントです。
周波数について
周波数とは1秒回あたりの電気振動数のことを指し、ヘルツという単位で表されています。
腹筋ベルトによる筋肥大効果を得たいのであれば、インナーマッスルまで届くことができる高周波(3,000~50,000ヘルツ)のものがおすすめになります。
高周波であればあるほど、皮膚透過性が高くなるため、筋肉に直接刺激を与えることができます。
ただ、高周波であるものはプロ仕様のものが多く価格が高い傾向にあります。
また低周波は本来であれば、肌への分散が激しいとされていましたが、最近では独自の波形を用いて肌への影響を極力抑えたSixPadやスレンダートーンなども流行しています。
然しながら、あくまでEMSのマシンとしては低周波機器は入門機だとして認識したほうがいいでしょう。
低周波 | 中周波 | 高周波 |
1,000ヘルツ以下 | 1,000~2,000ヘルツ | 3,000~50,000ヘルツ |
Sixpad、スレンダートーンなど | 一般的な腹筋ベルト | プロ仕様の腹筋ベルト |
刺激したい範囲について
腹筋ベルトと呼ばれるEMSのエクササイズマシンでは、パッドを張り付けた深部の筋肉しか鍛えることができません。
そのため、鍛えたい場所にあったパッドの腹筋ベルトを選ぶようにしましょう。
腹筋ベルトの種類を分けると以下のものがあります。
ベルト型
腹筋や、太もも、二の腕などにベルトのように巻き付けて刺激を与えることができます。
広範囲の筋肉に刺激を与えることができるメリットがあります。
パッド型
気になる筋肉の部位にパッドを当てて刺激を与えることができます。
ピンポイント刺激できるため、ベルトのような圧迫感は感じづらいのがメリットです。
ただし、パッドの吸着力が落ちやすいため、交換頻度はベルト型より高いでしょう。
グローブ型
EMSがついた手袋をつけて、気になる部分に触ることで鍛えることができます。
顔回りや、普段鍛えにくい部分をトレーニングできるメリットがある反面、手で触り続けなければいけないため、めんどくさいというデメリットがあります。
信頼性について
腹筋ベルトは、楽天やアマゾンなどで安価なものだと1,000円台から発売されています。
然しながら、電気信号による皮膚や他の筋肉への悪影響もある為、値段が安いからといって選ぶのは絶対にやめましょう。
仕組み上、皮膚への影響も多く、ダメージを与える製品があります。
選ぶ際はしっかりと実績のある会社の製品を選ぶことをおすすめします。
腹筋ベルトで効果を出すための使い方
腹筋ベルトは正しい使い方で使用しないと効果を得られることができません。また、筋肥大効果も高いわけではなく、あくまで補助エクササイズマシンとして取り入れるのが最も良い使い方になります。
効果を最大限出すためにも以下のことを守ってみてくださいね。
継続して4週間つかってみること
腹筋ベルトの効果を感じるためには、継続することが最も大切です。
腹筋ベルトを買う人自体が、トレーニングがめんどくさいなどの理由で買う人が多いので数回使っただけで満足してしまうこともあるでしょう。
かならず、4週間以上したうえで判断してみてください。
また、頻度については1日30分以内で2回を1週間に5日ほどやることをおすすめします。
腹筋部分に行う場合、腹筋自体が遅筋線維と呼ばれる筋線維でできているため、休息のために多くの日数を空ける必要はありません。
他のエクササイズもしてみること
腹筋ベルトでの効果はあくまで、軽い筋力トレーニングレベルでしかありません。
腹筋を割ることを目的とした場合は、腹筋についている皮下脂肪を落とすことが大切です。
腹筋を割ることを目的としたダイエットメニューのトレーニングと食事を意識してみてください。